平成30年度「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」
医療事務における効果的な連携事業を行うためのガイドラインを作成
ガイドライン作成方針

これまでに得ている知見・指摘及び課題とガイドラインにおける対応

課題等
  • 学校と病院の双方が、目的・目標、病院実習の真の意味について共有することが出来ていない。
  • 医療事務職を育成するために、病院実習(事前学習→実習中→事後学習)を組み込んだ体系的なカリキュラムの編成が出来ていない。
  • 特に中長期で実施される病院実習について、体系的な教育設計が出来ていない。
  • 医院、クリニック、歯科、調剤薬局等の中小規模の医療機関において、受け入れや指導の体制が整備出来ていない。
  • 地域により連携体制の整備に関する差が大きい。
  • 病院側のメリットについて明確に示すことが出来ない。
ガイドラインにおける対応

上記課題に対応するツールおよびガイドラインの内容は以下のようになる。名称等は変更となる場合がある。なお、平成29年度末に実証講座を実施しているため、同課題に対して想定した対応ができているか実施校からヒアリングを行い、ガイドラインに反映させる。ツール等においては、現状としての学生の学習状況と提供する教育計画そして病院実習で行う学習課題を関係者にて確認できるように文書化している。

  • 病院実習に関する目的・目標について、双方で共有できるためのツール作成
    業務補助型実習事前学習状況チェック表【学生用】
    業務補助型実習事前学習状況チェック表【教員用】
    学習生学習状況(学生記載)
    実習生学習状況(カリキュラム)
    実習依頼書、実習概要確認書 などに学習状況・課題を明記し相互に合意
  • 病院実習を実施するにあたり、必要な手続きを支援するためのツール作成
    実習生個人票
    実習委託契約書
    誓約書
    実習オリエンテーション資料
    実習先概要確認書(学生)
    実習日誌
    実習巡回報告書
  • 病院実習を組み込んだ2年間の標準カリキュラムの提示
    標準カリキュラムモデル
  • 体験型・業務補助型病院実習の事前学習→実習中→事後学習を実施することを目的としたプログラムの作成
    デュアル教育の具体的な内容および構築方法
    デュアル教育を実施していくための必要な教材等
  • 医療機関側での受け入れ、指導体制を整えていただくためのツール作成
    実習受入承諾書・実習スケジュール表(案)
  • 病院側に実習生の受け入れメリットを伝えるためのツール作成
    病院・医院向け医療事務実習受け入れガイドブック(パンフレット)

ガイドラインの構成、骨子等

ガイドライン作成にあたっては、以下の項目や観点をベースに作成している。

産学連携によるカリキュラムのあり方

観点
  • 学校側から受け入れ病院側に病院実習の趣旨・目的・目標を説明・共有し、医療機関側が、受け入れ体制、指導体制等を整備できるようなガイドとする。
  • 学内で修学した知識と技能を総合的に経験学習する病院実習(インターンシップ)を組み込んだ、2年課程の標準カリキュラムを編成する。学習前後における教育の留意事項を整理してガイドラインに記載する
  • 学校側が、学習時期による学内学習内容との関係性を十分踏まえた上で、産学連携による実習・演習の学習目的と目標を明確にして提示できるものとする。
  • 医療機関内において、教育の経験がない担当者が適切な指導・助言を職務中に行うことができるように、学習内容・スキルと学習目標を図式化する。学生の受け入れにおける留意事項および実習中の学生指導・評価についてガイドラインに記載する。
  • 学習者に必要な技能を習得させるため、学習到達に応じた実習の必要性について定める。
  • 実習の時期により①キャリア形成上の啓発的経験とした体験②基礎的汎用的な能力としてのコミュニケーションの実践③医療事務の専門的学習内容の定着を目的とした演習④実際の総合実務能力として課題解決型学習等を想定する。
想定される支援ツール
  • 実習依頼書、実習概要確認書、実習生紹介文(個人票)、実習前授業、実習生概要確認書、実習教材、実習日報、実習巡回報告書、実習先評価表、自己評価書、学習成果のまとめ、実習後授業 等

企業と学校の連携にかかる留意点

観点
  • 受け入れ病院側に対してスムーズな受け入れと何らかメリットが得られるよう配慮する。
  • 地域性、病院規模、専門性等による連携方法、学習内容等を類型化して、ガイドラインのバリエーションを作り、専門学校教育において網羅的に対応できるよう考慮する。
  • 病院内で発生する課題に対して、実習者が能動的な行動・態度を、院内ルール・理念の中で行うことができるよう考慮する。また、そのための思考プロセスを学習できるよう、振り返りによる機会を考慮する。

想定されるパターン

『業務体験型(数日から1週間程度)』、『業務補助型(1週間から2週間程度)』の目的別に以下の内容を整理する。

  • 事前学習
    1. 実習の目的・目標の確認
    2. 事前学習内容の確認と実習期間中の確認事項
  • 実習期間中 
    1. 実習中の手帳・メモ帳による即時学習
    2. 実習日誌による自己と医療機関指導責任者の相互省察
    3. 実習日誌およびヒアリングによる学校指導者からのメンタリング
  • 事後学習(実習終了後)
    1. 総括のための報告書作成
    2. 発表会による相互学習
想定される支援ツール
  • 実習依頼書、承諾書、契約書、誓約書、実習日報、実習巡回報告書、トラブルシューティング集 病院・医院向け医療事務実習受け入れガイドブック(パンフレット) 等